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蜜蝋を主体としたソフトワックスで作成した
鋳型によるロストワックス鋳造になります。

完全手作りのオリジナル作品となっており、
同じ物は一つとありません。
(鋳造する際ロウ型は溶けて無くなって
しまいますので全て一点物となります。)

宝飾作成のカテゴリーの中では
"鋳金"蜜蝋鋳造となります。
(多くはハードワックス主体の鋳造です)

地金は純銀(950)を使用しております。

また研磨の全てを伝統的な金属の道具
(ヤスリ/キサゲ/磨きヘラ)で行っております。
ロジウムメッキや研磨機による鏡面仕上げは
行わず、手仕事によるヘラ掛けのみで、
たんねんに一つひとつ磨きあげ、
仕上げおります。

ソフトワックス鋳造の特徴ある鋳肌と風合いを
最大限生かした仕上がりになっております。
独特の滑りのある光沢をお楽しみください。

ペンダントトップにはワックスコードを
無料でお付けいたしております。
別売りでシルバーチェーンもございますので、
ご要望の際はお申し付けください。
詳しくは、商品画面をご覧ください。

※シルバーチェーン
一律3千円。長さは55cmです。
なお、シルバーチェーンのみでの販売は
いたしておりません。ご了承ください。

※ワックスコード
長さは75cmです。
不要の場合は申しつけください。


[作者略歴]
大学卒業後、修道院に入る。
修道院おいて金属工芸家の先生と出会う。
数年後、修道院を出ることになる。
さまざまな仕事をしながら
先生の鋳金教室に通う…も断念…
長らくサラリーマン生活の後、
転職を機に鋳金製作を再開。

[作成の経緯]
先生とのご縁については不思議で、
本当に貴重な出会いとなりました。
多くの人にとって修道院での出会いなど
想像もつか無い事でしょう。
そんな先生には本当にお世話になりました。

当時、先生から
「いつか、40際過ぎたくらいか、
鋳金を始めようと思った時、
あなたが困らないように。
今、厳しく教えているの。
私の言う事が理解出来無くても正しい方法を
本物をとにかく見せているのよ!」

同時にまた、多くの道具や材料も
譲っていただきました。
先生の言われた通りになりました…
恩知らずで恥知らずのモト生徒ですが…
鋳金始める事にしました!
先生!本当にありがとうございました。

[鋳金とは]
 先ず始めに、以降の文章はあくまで私が
 憶えている事(20年以上前、先生との
 会話の記憶…)と、先生の先生の著作で
 理解出来た思われる事に基づいております。
 当然、金属工芸史の専門家でも無いし、
 ジュエリー専門学校の講師でもありません。
 その上で、ご一読お願いいたします。

では、鋳金の理解の前提として、
まず他の加工法についてお話しいたします。
主に、鎚金。彫金。飾り。宝飾。 
の4つが上げられるかと思います。
ただし、これらの区分は〇〇職人として
分業の主たるモノと理解してください。
実際の作品の多くは、これら複数の技法を
組み合わせて製作されています。

ちなみに、先生の先生は金属工芸の専門家で
かつ得意な技法が鋳金だったようです。
代表となる作品の多くも鋳金による物です。
現在でも美術館や博物館に収蔵されており
実物を鑑賞する事が出来ます。

鎚金:
 金槌と金床を用いて金属を成形。
 特徴としては、塊状の金属を立体的に
 加工(多くは中空の器)し、その工程で
 現れる美しい鎚目。代表的な造形物は、
 金銀や錫のコップやおりん。

彫金:
 タガネと金槌を用いて金属表面に
 加工を施す。透かし彫りの技法もある。
 また象嵌技法も彫金の範疇と考えられる。
 特徴としては、緻密な彫りの美しさと、
 様々な金属製品に直接加工を施せる事。
 代表的な造形物は、刀剣彫刻や仏具。
 (現在では、金属装飾の総称として使われる)

飾り:
 使う道具は多岐に渡り、板状。線状。等
 様々な金属パーツを一から作りだし成形の
 上(透かし切り等)それらをロウ付技法で
 組み合わせて造形を行う。特徴としては、
 他の加工法より立体造形に優れている事。
 代表的な造形物は、カンザシや王冠など。
 (いわゆる彫金と聞いて思い浮かべる技法)

宝飾:
 貴石や真珠といった宝石類を金属の台座に
 固定したり、嵌め込んだり、宝石類が最も
 美しく見えるよう工夫した造形を行う。
 特徴としては、多くの造形において複数の
 宝石を使用する事。代表的な造形物は
 ティアラ等宝石を多用した作品。
 (いわゆるジュエリーアート)

鋳金について:
 型取りした物に(粘土、砂、石膏等)
 金属を溶かし入れて造形を行う。
 特徴としては、型が成形出来れば原則
 どんな形でも成形可能な事と大小様々な
 造形が、他の加工法に比べ容易である事。 
 代表的な造形物は、青銅器や仏像や梵鐘。 

ちなみにTV等でしばしばクイズになる。
"オシャカになる"は鋳造職人の用語で、
阿弥陀如来(光背あり)を作ったが失敗し、
光背の無い釈迦如来になってしまった。
という逸話からくる。
と先生に教えてもらいました。

先生も先生から、そう教わったそうで、
わざと「もうオシャカにしてしまいなさい!」
とよく言われたとの事。なぜか?

光背等の細かい造形は鋳造において難しく
金属が型通りに流れ無い事が多いから…
鋳造を実際してみると良〜く分かります!

次に鋳金について細かく見てみます。

ロストワックスとは:
 ロストワックス=脱蝋鋳造の意味。
 鋳造技法としては比較的新しく、現在では
 工業用の精密機械鋳造や歯科技工鋳造等が
 知られています。脱蝋の意味は蝋=ワックス
 で作ったロウ型を埋没材(石膏等)に
 埋め込みロウ型を溶かす工程を指します。
 結果として、埋没材の中に、型取りした
 中空が出来上がり、この中空に金属を
 流し込み成形します。

ハードワックスとは:
 ロウ型の材料となる蝋=ワックスの性質を
 表しています。言葉通り硬質のワックスを
 指します。特徴としては、適度な硬度が
 ある為、様々な成形(可塑制)に優れており
 金属加工用の道具や技術が、ほぼそのまま
 (削ったり、切ったり)転用可能な点にあり、
 昨今、鋳造作品の多くがハードワックスで
 作成されているように思われます。

ソフトワックス/蜜蝋とは:
 ハードワックスに対して、非常に柔らかく
 (夏など気温でフニャフニャに溶けてしまう)
 主な使われ方は、ハードワックスの補填や
 接着など脇役的なものになります。
 ソフトワックスでの成形の特徴としては、
 ロウ型に適した硬度と強度を持たせる
 工夫が絶対条件となる点。理由としては、
 ロウ型が安定しないと埋没出来無い。
 金属を鋳込んだ完成品が脆くなる。
 等の原因になります。

 加工道具は様々な針状の金属棒を使用し、
 基本、蝋を溶かして、新たな蝋を盛り、
 溶かすの繰り返しで成形していきます。 
 お湯の中で形を変える事も出来ます。
 つまり、変形し易い点が最大のメリット
 でもありデメリットともなっています。
 
作成中は、しょっちゅう溶かして壊して
しまっています…(泣)今も昔も!先生からは
「何度でも、やり直したらいいのよ!」
「いちいち諦めないの!」
と常々言われていました。

蜜蝋について:
 ワックス材料として古くから利用されており
 日本の伝統的なロウ型の造形技法として、
 "引き目"技法(蜜蝋は非常に柔らかく、
 飴細工の様に引き伸ばす事が可能な為、
 その柔らかさを表現した作風を指す)
 が有名なものとなります。

先生の教室で作った事があるものの、
非常に熟練を要する為、
以降は作っていません。
先生の作風のルーツの一つと思われます。

先生のソフトワックスについて:
 蜜蝋を主体にした手作りで、
 (配合は各工芸家の秘伝?
  一応、引き継いでいると思う…)
 現在、私も使用しロウ型を作成しています。

先生の技法の特徴について:
 先生は美大卒業後、スイス等に留学され、
 当初は銅版画作成を主にされていたようで、
 日本に帰国後は美術系の専門学校の講師等
 していたと伺っています。さらにお姉さんが
 プロの画家で、そのご縁で金属工芸の先生
 に弟子入りされたようです。先生の過去の
 詳しい経緯については、実際のところ、
 あまり教えていただいていません。

ただ、
お父さまが歯科医師として、自宅で歯科技工も
されていたので、鋳造全般について身近な存在
だったようです。先生のアトリエの道具の
多くがお父さまが使っていた物だったと
記憶しています

また先生の先生は美術品の復元製作を
されていた方で、
実際に先生と東京の博物館に
作品を観に行きました。
先生も多くお手伝いされていたそうです。

先生の先生の復元製作の特徴は、
なるべく当時の技法、道具、材料で行う
というもので、それらの研究も同時にされて
おられたそうです。なので先生のご自宅には
私からすると古めかしい道具等が
沢山あったのを憶えています。

先生から教えていただいた製作技法は
徹底した"手作り"だと思います。
この手作りとは、伝統的な技法による。
と言った意味合い、と考えております。
よくおしゃっていた先生の口癖は、
「バカねぇ手作りだから全部手でやるの!」
でした。

お教室に通わせていただいていた当時から
お世話になっている彫金専門店のご主人から
鋳金を再開した際、ご挨拶に伺ったおり、

"今時では珍しく、ちゃんとした、
やり方を(伝統的技法)教えてもらったんだね"
と言っていただきました。
…先生、本当ありがとうございました。

へラ掛けにつて
 前提としての鋳肌について:
 伝統的な鋳型の材料として"砂"が
 挙げられます その砂で型取りを行い、
 表面に竹ベラ等で紋様 を刻みます。
 (鋳肌の基になる)
 それらが鋳造後に金属表面に風合いとして
 現れます。これらを鋳肌と言っています。

お茶道具の鉄釜や鉄瓶等、作品として
鋳肌がとても大切にされていて、作者の技術が
試され、鑑賞する際の注目点の一つと
なっています。
先生からよく「ツルンベにするな!」
と注意されました。
なぜ西洋の鋳造作品等と違い、
これら鋳肌が大事にされるのかは正直、
私では分かりませんが。
ただなんとも言えない美しさが、
この鋳肌にあるのは理解出来ます。

伝統工芸をルーツとしている先生の
こだわりの一つがこの鋳肌です。
この鋳肌を最大限に表現する技法が
"ヘラ(箆)掛け"になります。

ヘラ掛けを簡単に説明すると、棒状の金属
工具で鋳込んだ表面を圧迫し艶やかにする事

以前YouTubeでアルミホイルを丸めて、
ひたすら木槌で叩くとピカピカな球体になる。
新幹線の先端部分を一枚の板から、
ヘラ絞り技法で円錐形に成形するとか、
アップされていました…
イメージし易いかと思います。

これら加工法の特徴としては、
 美しい表面となり、加工表面が硬化する事。
 の2点が挙げられるかと思います。

"圧迫硬化加工"とでも名付けておきます。

以外な利用例として、
日本刀の研ぎの最終工程に硬度と
輝きを出す為、刃先を中心に
"ナルメ棒"と言われる金属工具によって
同様の加工が行われています。
現在、多くの作家さんは日本刀と同じく
最終工程として"仕上げにのみ"作業する事が
多いのでは、と感じています。
図書館で見つけた彫金の教科書にも
そう書いてありました。

また、
昨今ではロジウムメッキがポピュラーな
仕上げ法となっているように感じています。

いずれにせよ、
金属研磨加工の主流は、研磨剤と
研磨機による鏡面仕上げだと思われます。
街で見かける宝飾店には必ずと言って
良い程、研磨機が設置されているように
見えます。

これらを否定する訳ではありませんが、
先生の先生が実践し、先生がこだわった
"ヘラ掛け"は独特の滑りのある輝きを
醸し出し、かつ銀装飾表面を
固く引き締める効果があり
鋳肌の風合いを最大限に引き立てる
方法だと考えています。

なので、
 労力と時間が非常にかかる
 "ヘラ掛け"に私もこだわり製作を行なって
 います。というよりも、先生から教えて
 いただいた"やり方"なので、出来るだけ
 忠実に再現したい!と心掛けております。

お手入れ方法
 上述した通り、圧迫硬化加工により、
 表面を固く引き締めていますので、
 通常であれば、柔らかい布で
 拭いてもらうだけで充分です。
 ただし、
 汚れの多くは汗や脂ですので、
 中性洗剤と微温湯で洗っても
 イイかと思います。
 (細かいところは歯ブラシを使ってください)

 それでも満足出来なければ、重曹と
 少量の水で揉み洗いをしてもらい、
 充分な流水で洗い流してください。
 銀は水で発色します。

ヘラ掛けを始めとした伝統技法による銀器は
経年変化に伴い、自然と燻れ(いぶれ)てきて、
燻銀(いぶしぎん)の輝きとなります。

あえて作品の紋様やテクスチャを
際立せさせる為、硫黄による化学変化を
利用した黒色に発色させる技法を
用いている作家さんも見受けられます。

ロジウムメッキはある意味これら経年変化を
防ぐ為の方法と言えます。

伝統的な技法にも鍍金(金メッキ)があります
設備上、私はしていません。
先生のお教室ではしていたのですが…

古美(ふるび)色輝く"燻銀"となるよう、
ご自分だけの風合いに育ていただけたら
幸いと考えております。

他に
ペンダントトップをご購入の際には、
原則シルバーチェーンは別売とさせて
いただいております。
特段のご要望がなければ無料で
ワックスコードをお付けいたします。

青(インディゴブルー)
赤(朱赤)
茶(ベージュ)
の三色から、お選びいただけます。
※ワックスコードは0.75mm

色目のご希望が無い場合は、
作家センスでセットさせていただきます。

*ワックスコードとの出会いについてついて
ペンダントトップに合わせる紐を探し
回っていたのですが…なかなか気に入った
紐が見付けられず…半ば諦めていたところ…
たまたまマクラメ作家さんと知り会う
機会に恵まれ "これだ!!"
という素材にたどり着けました。

マクラメとは:
天然石を中心に、組紐や編み込み技法を
駆使し製作される装飾作品。特徴としては
何より軽やかに(実際に軽い)立体的な
造形と色とりどりの色彩が可能である事。
様々なコーディネートに優れている
と思います。

使用するワックスコードにつて:
マクラメ作家さんの第一人者の方が、
製品化に関わり、ブラジルから直接
輸入している物になり日本では数名しか
扱っていない製品になります。
強度、耐性(磨耗や汗)共に申し分ない
素材となっております。

…そういえば、先生もマグロ釣専用の
 テグス(釣糸)を使ったりされていました。

最後に
  ネット発信に際して、
  多大な協力をしてくれている
  姪御と姉に、この場をお借りして
  心から御礼申し上げます。

追補:
修道院に入ろうとしたり、
手仕事をしてみようと考えたりと…
正直変わり者だと自分でも思います。
…昔からネットやスマホは大の苦手です…
どうぞ、ご容赦ください。

今後ともどうぞ宜しくお願いいたします。

アトリエ:
アルマ レデンプトリス マーテル 主催